第八十九夜:旅はいつだって感傷的なのだ

ダイアル35 Canon ハーフサイズカメラ

本当のことを言うと、私は旅をしていて楽しかったことはあまりない。

楽しむために旅に出ていたわけではないのだから、当然言えば当然なんだけど。

私が「ああ、旅に出たいな」と思うときは、ネガティブなとき。

そしてそれを実行するのは、そんなネガティブ思考に押しつぶされそうになって
自分でもどうしたらいいのかわからないときなのだ。

そうやって。

私は自分を追い詰める。

最低でもネガティブな要素が3つないと落ち着かないのだから笑ってしまう。

なにより、独りであることに温もりを感じる。

旅 フィルムカメラ オランダ デルフトのホテル

 

気持ちよくまとわり付く、負のイメージ。
普段は目に見えないもの、言葉にできないもの、文字にできないものを、
遠いとか、近いとか、日本だとか、外国だとかは関係なく、
そんなことではなく。

オステンド ベルギー
カメラという触媒が繋げてくれる。

シャッター音が自分の存在を教えてくれる。

「私は自由だ」と呟いた瞬間から、
自由ではなくなるのだということを知る。

いびつな夢の断片のように、不穏で、見知らぬ場所への幻想をかき立てる。

モノクロ写真 フィルムカメラ

いつだって、旅は感傷的なのだ。