店休日:「広島神楽」定期公演2017~広島・島根交流特別公演~

広島・島根交流特別公演に初めて行ってきました。

広島からは、北広島町にある「中川戸(なかかわど)神楽団」、
島根からは、浜田市にある「石見神楽長澤社中(いわみかぐらながさわしゃちゅう)」が出演。

石見神楽も、ホールで神楽を観るのも初めてだったのでとてもワクワクでした。

ラッキーなことに演目もまだ観たことがないものでした。
ただ、写真・動画撮影禁止の場所(舞台から6列目!)だったので
お見せできるものが何もないのが……あら残念なり無念なりぃぃぃ。

広島・島根交流特別公演演目と解説

石見神楽長澤社中

・塵倫
人皇第14代仲哀(ちゅうあい)天皇の時代。
異国から、日本征伐を企てた数万の軍勢が攻めてきます。その軍勢の中に、翼があり天空を自在にかけ巡り、悪事を働く塵輪(じんりん)という神通自在の鬼がおり、村々を荒らし回り多くの人民を苦しめていました。
仲哀天皇は塵倫(じんりん)を退治するため、高麻呂(たかまろ)に門を固めさせ、塵倫(じんりん)が現れたらすぐに知らせるように命じます。
いよいよ、鬼が現れたとき、天皇自ら不思議な力を持つ十善万乗(じゅうぜんばんじょう)の弓矢で鬼を退治するというお話。
この塵倫という鬼は、神楽には珍しく女性の鬼とされているそうです。
(舞っているのは男性です)

何と言っても、鬼が手強いんです。
神通自在ですし、空も飛ぶという設定なので、天皇と高麻呂が苦戦します。
舞台ではスモークがたかれ、激しい舞が舞われます。

・加藤清正
長澤社中のオリジナル演目だそうです。
昭和初期、浜田町田町にある龍泉寺から依頼されて創作されたとのこと。

関白・豊臣秀吉が加藤清正を総大将として朝鮮に出兵したときのエピソードを神楽化したものです。明(みん)の大軍と交戦中、家臣が虎に襲われます。士気が下がることを懸念した清正が虎退治に向かい、愛用の三又槍で見事、虎を退治。軍の士気は上がり、明の大軍と激戦の末、降伏させるというお話。

舞台から虎と家臣が降りてきて、観客を沸かせました。楽しかったです。
虎は観客席を縦横無尽に動き周り、握手を求められるとちゃんとこたえていました(笑)
今回、虎は着ぐるみだったのですが、昔はどうしてたんですかね。
虎の頭だけかぶってたのかなー。

中川戸神楽団

・瀧夜叉姫(たきやしゃひめ)
平安時代の中頃、王朝貴族の優雅な暮らしの一方で、人民は貧しい日々を過ごしていました。
そんな中、平将門が自ら「新皇」となって万民和平の世直しを掲げ立ち上がります。
しかし、天慶の乱にて、藤原秀郷(ふじわらのひでさと)、平貞盛(たいらのさだもり)軍に敗れてしまいます。生き残った将門の娘・五月姫(さつきひめ)は父・将門の無念を晴らすため、貴船の社に願をかけ、妖術を授かります。
五月姫は名を「瀧夜叉姫」と変え、手下と共に因縁の地・猿島(さしま)へ戻り反乱を企てます。それを聞きつけた陰陽師・大宅中将光圀(おおやのちゅうじょうみつくに)は、瀧夜叉姫追討に向かい、妖術に苦戦しながらも激しい戦いの末、瀧夜叉姫を追い詰めます。

瀧夜叉姫は大宅中将光圀の慈悲を受け、殺されずに済みます。
これまでの悪行を悔い改めて、仏の道に入るのです。よかった……。

見どころは、何度も変わる瀧夜叉姫の顔です。
特に、一番最初に鬼の面を付けたときはそのあまりにの自然さに、本当に妖術を見せられているかのようで、鳥肌が立ちました。本当に、スッっと顔を隠した一瞬で、鬼の顔になったので。

ちなみに最後には、鬼の面は取れ、元の姿に戻ります。

・紅葉狩
平安の時代、奥州・会津に生まれた呉葉は美しく育ちます。呉葉は都に上り「紅葉」と名を変えて、源経基(みなもとのつねもと)に寵愛を受けるほど出世します。
そのうち、経基の正妻が邪魔になった紅葉は、呪詛(神仏や悪霊などに祈願して相手に災いが及ぶようにすること)によって、経基を自分だけのものにしようとします。
しかし、陰陽師によってそのことがバレてしまい、信州の戸隠へと流されるのです。

しばらく村で暮らすうち、都へ帰りたいと思うようになった紅葉。無法者を集め、里人から金銀財宝を奪い取り、上洛しようとします。一方、平維茂(たいらのこれもち)は、紅葉征伐の勅命を受け、戸隠へと向かいました。
維茂は戸隠山の麓で紅葉を待ち伏せますが、それを見つけた紅葉は一計を持って乗り込み、次第に鬼の本性を現していきます。

維茂は紅葉を退治しようとしますが、妖術に競り負け、みすみす逃してしまうのでした。

その後、維茂は北向観音に祈願し、降魔の剣を授かり、再び紅葉と対峙。激闘の末に成敗するというお話。

早着替えを1回見逃してしまいました……。
北向観音で剣を授かるシーンは、御札が燃えて扉が開き、中から剣が現れるという仕掛けがあり、会場から大きな拍手が。面白い演出でした。

2014年の中川戸神楽団、上記、件のシーンです。
You Tubeで拾って参りました。22分40秒あたりを観てください。

石見神楽と広島神楽を見比べて

石見神楽は、派手さはありませんが、全体的に落ち着いた雰囲気です。
舞手の方の1つ1つの動きが美しく、丁寧で、見とれてしまいました。
派手ではない分、囃子と舞手の強弱が強調されて、メリハリがあったように思います。

お面の早付け、早外し、早着替えもありません。
ですが、しっかりと楽しめる神楽でした。
衣装も石見神楽のほうが風格というか、重みがありました。
(中川戸神楽団さん、すみません)

一方、中川戸神楽団(広島神楽)は、衣装もどこか今風といいますか、まさに豪華絢爛。
八調子の囃子に合わせて派手な口上と立ち回りで、観客を一気に引き込みます。

以下に、六調子と八調子の違いがわかる動画を貼っておきます。
今回の公演では石見神楽も広島神楽も「八調子」(テンポが早い)でした。

六調子の神楽

八調子の神楽

全部観なくても、初っ端からテンポの違いがわかりますので観てみてくださいませ。

大太鼓が力強く、腹にズドンときます。空気が一変するんです。
そして回ります。
どんどん回ります。美しく、スピーディーに回ります。すごいですよ。圧巻です。

そうそう、この囃子さん方には楽譜というものがありません。
大太鼓をベースに、舞手との阿吽の呼吸で音を出していきます。
かなり練習をしなければ合わせられませんよね。

それから、口上。最初の頃は何がなんだかわかりませんでした。
まず、聞き取れないですしね。
それがだんだん理解できるようになってくるから楽しいんです。

もっとたくさんの神楽をみたいと思いました。知れば知るほど、奥が深いです。

舞台後の撮影会にて(中川戸神楽団)

間近で見ると、面がものすごい迫力でした。
小さな子どもは泣いていましたね(苦笑)

広島神楽 特別公演後 中川戸神楽団

写真には撮ってもらっていませんが、姫と鬼、両方の衣装を(上だけ)を
着せてもらうことができました。ひとりで静かにテンション上がりまくり。

信じられない重さでした。
こんなのを着て、あんなに激しく動けるなんて嘘でしょ?って思います。

ファンの写真撮影に応じる平維茂と随神。
お若い方のようですね。じゃないと、激しい舞に耐えられないか……。

広島神楽 中川戸神楽団 平維茂と随神

神楽には「追っかけ」のような方たちもいらっしゃると、
どこかでチラっと見ましたが、本当なのでしょうか。確かに若い女性も結構いました。

舞台を片付けておられます。

広島神楽定期公演 特別公演後 片付け風景

みなさん、素晴らしい舞をありがとうございました!

石見神楽をもっと知りたい方はコチラ